フランクフルト発ルフトハンザLH4066便

僕たちが乗った21時5分フランクフルト発ルフトハンザLH4066便は22時35分にフィレンツェに着くはずだった。自宅を出発して20時間以上経っていてヘトヘトだった僕たちは、席に着いた途端ぐっすり眠りこけてたんだけども、機内アナウンスで目を覚ました。
最初にドイツ語でなにやら話してる。さっぱり分からないけど、おそらくあと数十分で目的地(フェレンツェ!)に着くとかそういうことを言ってるんだと推測してた。ところが、なんだか話が長い。ちょっとおかしいなって思ってると次に英語のアナウンス。
先月から始めた英語の勉強の成果を発揮すべくアナウンスに集中する。なんだか天候がどうとかでボローニャからバスでフィレンツェに向かうとかなんとか。最後にはご不便をおかけして申し訳ないみたいなことを言ってる(気がした)。
・・・え?マジ?一瞬焦ったけども、前にも旭川空港に着陸しようとした時に、大雪で数回チャレンジしてダメだったら千歳に着陸するって言われた時も結局大丈夫だったし、なんだかんだで大丈夫だろうって根拠もなく安心してた。
窓の外を見ると確かに凄い霧。もう随分高度が下がってるはずなのに街の光がちっとも見えない。ボローニャとかフィレンツェとか言う前に無事着陸できるのかちょっと不安になる。飛行機のタイヤを出した音がしてもまだ地面が見えない。緊張感たっぷりでなんとか着陸。ほんとに凄い霧だったので、これがアナウンスで言ってた悪天候のことだと思って、どうにかこうにかフィレンツェに着陸出来たんだと思った。ところが飛行機を降りてバスに乗って空港のターミナルに向かう途中でいやーな文字が飛び込んできた。

AEROPORTO DI BOLOGNA

BOLOGNA・・・。イタリア語はさっぱり分からんけども「BOLOGNA」って「フィレンツェ」じゃないよね・・・。多分、いや間違いなく「ボローニャ」だわな。その文字を見た瞬間。隣の妻に
「ダメだ・・・ボローニャだ。」
落胆する我々。なんでこんなに落胆するかって言うと、この時すでに23時前なのよね。どんなに急ぎでバスが手配されても、フィレンツェ到着は夜中になること間違い無し。明日の朝にはウフッツィ美術館予約してるのに・・。わずか6日の滞在なのにこのロスはデカい。
荷物を受け取るとアナウンスが流れて、できるだけ早くバスを手配するから待てとのこと。どこで待てっていう指示も無く、ただ待て。ルフトハンザ航空の職員は誰一人として現れず、夜の空港は閑散としていてとっても不安になる。ともあれ空港に着いたらホテルに連絡することになっていたので、公衆電話からホテルに電話。
今回の旅行でお世話になったホテルはホテルチェステリというイタリア人のダンナさんと日本人の奥様が個人経営してる小さなホテル。電話も日本人の奥様が対応してくれるので当然日本語。さっそうと公衆電話からペラペラ電話してる僕の姿はさも旅慣れた旅行者に見えたんでしょうね。それを見てた他の日本人旅行者が
「私のホテルにも連絡を入れてくれませんか?」
ときた。

いやいやいや、僕全然英語とかダメなんだけど・・・ってひるんだけど、こんな夜中に異国の地にほっぽりだされて不安になってる人(それは僕も同じなんだが)に冷たく出来ないし、何より頼られてる感が悪い気がしなかったので(笑)、とりあえずトライ。
予約番号を告げるとそんな予約は入ってないとか言われたけども、とにかくバウチャーを持ってるならどんな夜中になろうが朝になろうが大丈夫だってことで何とかクリア。

一仕事を終えてほっとしてると、なんと
「私のホテルもお願い出来ませんか?」
と別の方からもお願いされてしまった。さっきの人には対応しておきながらこの人を断るわけにもいかず、こっちもチャレンジ。
「お忙しいところすみません」
って言われたけど、幸か不幸か全然忙しくないしね、今。
一度経験済みだったので、2回目はわりとすんなり出来た。まあ2件とも大きめのホテルだったみたいで、何時でも良いよーってスタイルだったからね。
問題は僕らのホテルだよな。夜中の3時とか4時とかに着いてオーナーさんを電話で叩き起こしちゃって良いんだろうか。まあそうするしかないんだけど。

1時間以上過ぎて空港中を探しても職員は見つからず、地元のイタリア人は自腹でタクシーに乗ったり、迎えが来たりしてどんどん人が減って行く。すると24時頃にアナウンスが入り1時半頃バスが出発するとこと。果たして本当に1時半にバスが出るならいいけども、これだけほったらかしにされると信用出来ない。
そこへ同じ乗客のアメリカ人がタクシーの運転手と交渉してフィレンツェまで1台150ユーロで行ってくれるけどそれに乗ったらどうか?と提案してくれた。

そのアメリカ人は友達が迎えにくるからタクシーには乗らないけど、バスが1時半に出るっていうのは怪しいよ、ちょっと高いけどタクシーのほうが良いんじゃない?とのこと。
かなり迷ったけどもフィレンツェに着いて割増料金とか請求されても嫌だし、何よりこんな酷い目にあってるのにさらに自腹を切るのが悔しいのでやめた。しかしいつ来るか分からない(いや一応1時半に来ると奴らは言っているのだが)ものを待つのは精神衛生上良くないね。貴重な時間がどんどん削られてる感じだ。ほんのちょっとの時間だったけどフランクフルトで観光しておいて良かった。これでもしどこも観光してなかったら、もっとイライラしてたと思う。

そうこうしてるうちになんと1時にバス到着。ウオオ、予定より早いなんてどうしたんだイタリア人。イタリア人らしくないぞ!あの時の安堵感は今でも忘れられない。嬉しくて興奮したのと運転手が聞いてるラジオから流れるQUEENがうるさくてちっとも寝られなかったけど、乗り心地は最高だった。サンタ・マリア・ノヴェッラ駅まで送ってもらって、ホテルにはなんとか3時頃到着。

ホテルの奥様は寝ないで待っていてくれました。ホント感謝。マンチェスターでホテルが潰れていた時も焦ったけど、こういう旅のトラブルって後から思い返すと良い思い出だったりしますよね。ボローニャ空港で待ってるときは、日本に帰ったら絶対ルフトハンザにクレーム入れてやる!って思ってたけど。

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