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本の感想

生きるコント

小説ばかり読んでいるので、たまには作り話じゃなくて本当の話も読んでみようかと。
でもいきなりビジネス書にトライする度胸もなかったから、エッセイが良いかなと。
そんでもって、えいやっで買って失敗するのも嫌だったから図書館で探してみました。
それで見つけたのがこの一冊。
タイトルが「生きるコント」
コントって言うからには楽しいんだろう。
大宮エリーという人は知らなかったけど、東大を卒業して、電通で働いてた映画監督らしい。頭が良くて想像力が豊かってことでしょう。
そんな程度のテンションでどうしてもこの本が読みたかったというわけじゃなかったけど、読み始めたらあっという間に読み切りました。
とてつもなく面白い!
出来事そのものも面白いんだけど、表現も凄く面白い。
通勤のバスの中で笑いをこらえるのが大変でした。
大宮さんの人生を楽しくさせているのは、とにかく飛び込んでみる勇気というか行動力だと思う。
思い立ったが吉日を地で行ってる。何事にも「つまらなそうだからやらない」とは思わず、
「面白そうだからやってみよう」
って思える人なんじゃないかなあ。
僕もかくありたいって強く思いました。
どうやらこの本の続編もあるらしいので、それも読んでみよっと。

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本の感想

夕映え天使

夕映え天使というタイトル、著者は浅田次郎。

これはかなり泣けると踏んで読んでみたものの、期待していた内容とはちょっと違った。

6つの短編が収められているけど鉄道員や歩兵の本領のように分かりやすく泣ける物語はひとつもない。
ややもするとSFテイストのものまである。

浅田次郎の作品をたくさん読んでいるわけじゃないからよく分からないけど、こういう作品も書くんですね。
とは言え、じーんと泣くことは出来なかったものの読んで良かったなと思いました。
理屈じゃ割り切れない人生の切なさ満載。
中でも「丘の上の白い家」は秀逸。関係ないんだろうけど浜田省吾の「丘の上の愛」となんとなくかぶる。
物語も似てると言えば似てるし。
ただ、浜省の場合は丘の上に住んでいるのは男性だけど、こちらは女性。
この世には教科書通りにならないことが山ほどあるっていうメッセージをビシビシ感じました。
正直者や頑張ったものが必ずしも救われるわけではないっていう世の中なんだと。
現実と真実が同義になるのは金持ちだけなのかもしれないということを。
ほとんど絶望的な気分になる物語なんだけど、左官屋のくだりは少しだけ希望を持たせてくれる。
ときには現実にまさる真実もあるのだと。
精一杯の根性が奇跡を起こすこともあるのだと。
人はその可能性にかけて正直に、一生懸命に生きようとするんじゃないかな。
現実に負けちゃうかもしれないってうすうす分かっていても頑張るべきなんだよ。