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本の感想

食堂かたつむり

小川糸著「食堂かたつむり」の感想

料理に対する深い愛情を感じられる物語ですね。
「食堂かたつむりの料理」という本が出版されているくらい、たくさんの料理が丁寧に描かれてます。
ただ、僕はその辺はあんまり興味無し。
作品中の料理や、優しい登場人物達に癒されもしたけど、強い印象を受けたのは
「人生は厳しい」
ってこと。
例えどんなに純真で優しい人でも、恋人にとても酷い形でフラれてしまったり、
誠実に生きていても病魔に襲われてしまったり・・。
努力とか誠実とかそういうことを無視して不幸が襲ってくるもんなんだと。
ただ、それでは主人公の倫子やその母親の人生が不幸だったかと言うとそうではない。
むしろその逆。
食堂かたつむりに不思議な偶然が重なったりするのは、努力とは無関係に不幸が襲ってくることの裏返しなんじゃないかと思う。容赦なく不幸は訪れるけど、努力し続ければ理屈で説明がつかないような奇跡(少しおおげさだけどあえて)が起こることもあるんだと。
それは、人生に突然訪れる不幸に怯えたり諦めたりするひとには決して起こらない奇跡。
こないだ読んだ「夕映え天使」でも同じようなことを感じたけど、だからこそ人は強く生きられるんじゃないかなって思った。
まあ、つまりは凄く良い本です。

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