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本の感想

辺見じゅん著「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」

辺見じゅん著「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」の感想

水道橋博士が絶賛していたという本です。いわゆる号泣本で涙無しには読めません。通勤・通学中に読まないで家で読んで人目を気にせずに思いっきり泣きましょう。
僕にとって不幸だったのがたまたまテレビでこの物語の再現ドラマが放送されていたのを見てしまったので、本の途中でオチが分かってしまっていたということ。あれ?これもしかしてこないだテレビでやってたお話??みたいな感じで読んでしまいました。
それでも泣けます。泣けるとかそういう安直な表現をしたら申し訳ないくらいです。
以下ネタバレなので、僕と同じ道を辿りたくない人はとにかく本を読んでから、このブログを読んで下さい。
物語(実話なんだけど)は第二次世界大戦でソ連の俘虜になった山本さんのお話。日本の俘虜たちは日本への帰国(ダモイ)を夢見て収容所生活に耐えます。厳しい労働、わずかな食料、極寒の収容所、仲間の裏切り・・・いつ終わるか分からない俘虜生活の中で次第に希望を失っていく人達も入る中で山中さんはみんなに希望を与えます。
帰国を信じて、また辛い収容所生活の中にもわずかな楽しみを見つけてみんなを勇気づける。それに感謝して山本さんの遺書を日本に届けた人達・・。
人はこうあるべきだ。希望を失わず、どんな境遇にいても喜びを見つけて周りの人を幸せにする。幸せを分けてもらった人はいろいろな形で恩を返すべきだ。
そんな人達ばかりだったら間違いなく世界は平和になる。
山本さんのような人になろう。簡単なことじゃないのは分かってるけどそう思いました。
あとは間違ってはいけないのは、ソ連の人達が悪いということではないということ。戦争が終わったのに、日本人を開放せずひどい重労働に従事させたわけだけど、悪いのは戦争状態にしてしまったということで、その状況下であれば日本人だろうとアメリカ人だろうとどんな人でも非道に走る。
この物語に登場する元日本兵だって満州の人達から見たら酷いことをした人もいたでしょう。
人間を変えてしまうのが戦争。戦争を起こさないことが重要であって、かつての敵国を憎むことは生産性が無い。
・・・理屈ではそう思ってもなかなか難しいと思うけど。

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