映画の予告編をみてると、全米というのはこぞってよく泣くなあってつくづく思います。でも涙を流して泣くことがストレス解消になるというのは有名な話。そうです!泣くことは恥ずかしいことじゃない!健康のためにも泣きましょう。全米は映画で泣いてストレス解消しているに違いない。ぼくらも全米に負けずに泣きましょう。感動の涙、喜びの涙、悲しみの涙、いっぱい流しましょう。
では、あなたのストレス解消を手伝ってくれる映画をご紹介しす。
10位
告発
実話に基づいたアルカトラズ刑務所の悪夢。こんな地獄には1日だっていられない!
のっけからミスチョイスかも・・と自信をなくしてしまいそうな作品。というのもまあ泣けるには泣けるんだけど、どんなに涙を流してもとてもストレス解消になるとは思えません。どよーんって重ーい気持ちになります。
作品のふれこみも「涙じゃなくて拍手をください!」とのこと。泣いてる場合じゃなかったのね。
軽々しく同情なんてできないくらい悲惨な人生を送った囚人(ケヴィン・ベーコン)が掴み取った小さな勝利がアルカトラズを変えます。映画って主人公に感情移入しながら観ることが多いんだけど、感情移入するのも嫌になるくらい悲惨です。平凡な日々を過ごせるだけで幸せなんですね。
9位
ブラス!
監督:マーク・ハーマン
出演:ピート・ポスルスウェイト/ユアン・マクレガー/タラ・フィッツジェラルド
苦境に立たされた炭坑夫ブラスバンドの結束!
告発があまりにも重たい涙だったので、今回はもっと爽やかな涙を流しましょう。これも実話に基づいた物語のようです。イングランド北部の炭坑夫達で構成されるブラスバンドが、苦境を乗り越えてコンクール優勝を目指すというのがあらすじ。
炭坑町が舞台ということで、栄華を極めていたものがどんどん廃れていく雰囲気がぷんぷんで、涙を流すお膳立てはバッチリ。季節で言うとダントツで秋。ついこないだまではしゃいで海パン履いて泳いでいたのに、どんどん寒くなってビーチには誰もいないって状況だけで泣いちゃいそうじゃないですか。いやそんなシーンは無いですよ。例え話です。
そんな物悲しい町を舞台にしてDanny Boyが流れちゃうもんだから、問答無用で泣けます。
それにしても炭坑夫ってどうしてこうもカッコいいんでしょうね。男が憧れる男達です。
8位
フラガール
全米は泣かなかったかもしれないけど俺は泣いた!
ブラス!がイングランドの炭坑の映画なら、こちらは日本の炭坑の映画。しかも炭坑夫じゃなくて、炭坑町に住む女性が頑張るお話。水曜どうでしょうの藤村Dが絶賛していた記憶があります。
苦境に立たされた人達が頑張るという基本路線と、冷めた都会人のフラダンスの先生(松雪泰子)がみんなの熱意によってだんだん変わっていくところも見どころ。
フラガールたちの情熱が町も変えるし、すかした東京の先生も変える!
全米が泣いてないじゃんなんて言いっこなしで!
7位
ロレンツォのオイル/命の詩
子供に対する親の愛情が起こした奇跡!
治療法が見つかっていない副腎白質ジストロフィーという難病にかかってしまった息子のために、ありとあらゆる努力をし尽くして病気と闘っていく家族の姿を描いた映画です。これもまた実話に基づいて作られています。ここまでの作品全て実話をベースにしてますね。
僕たち夫婦には子供はいませんが、愛する人が難病にかかった時、人はこんなに強くなれるものでしょうか。嘆き悲しんでオロオロしながら医者にすがってる自分が想像出来るなあ。僕は特に信仰は持っていないけど、聖書の言葉で
「神はそれを乗り越えられる者にしか試練を与えない」
という言葉があるそうです。アメリカの映画だけあってそんなメッセージを強く感じます。
試練は乗り越えないと死んじゃうのです・・・。生きていくには力を合わせて試練を乗り越えるしか無い。乗り越えられるかどうかじゃなくて乗り越えるしかないんですね。
6位
チャンプ
息子にとって父は「パパ」じゃなくて「チャンプ」なのです!
7位までは全て実話ベースの作品でしたが、この作品はフィクションです(のはず)。この映画は1979年製作のジョン・ボイド主演で、1931年の映画のリメイクなんだそうです。オリジナルは観てないのでどっちが泣けるか分かりませんが少なくとも本作品は涙が出過ぎて喉が渇くくらい泣けます。
20年以上も前に観たけど、当時号泣したことを今でも覚えてます。
涙キーワードは「親子」「再起」「スポーツ(ボクシング)」。どうですか。
泣けそうでしょう。さらに強力な根拠をお伝えしましょう。カリフォルニア大学バークレー校心理学科の研究結果によれば、最も確実に泣ける映画(2011年時点で)1位がこのチャンプなんだそうです。
5位
アイ・オリジンズ
輪廻転生を科学して泣け!
泣ける映画を10個選ぶとなると、どうしても有名な映画ばっかりになっちゃうんですよね。ネットでは泣ける映画情報なんて溢れかえってるので、僕がここに挙げた作品も大抵どこかのランキングで紹介されてます。なもんで、映画ランキングサイトを15年以上続けている僕としては、一つくらい「俺だけが泣いた」的な作品を入れたくなるもの。
はい。それがこのアイ・オリジンズです。もちろん観た方もたくさんいらっしゃると思いますが、日本未公開作品なので適度にアングラかと。僕の場合は飛行機の中で観ました。日本語対応の映画が少なかったので仕方なくという感じで。
結果、5位入賞です。とにかく結末が全てです。僕は輪廻転生を信じたいけどもちろん確信はできない。そんな僕になんとなく腑に落ちて、本当にこれが事実であって欲しいと思わせる結末だったのです。キリスト教は輪廻転生という考え方じゃないので、アメリカではウケなかったんじゃないかなあ。
ということで、全米は泣いてないと思います。僕も泣いたのはラストシーンだけなんだけど、悲しいでも、辛いでも、嬉しいでもない不思議な涙でした。
4位
風立ちぬ
日本語の素晴らしさ!全米にも日本語で観て欲しい!
ごめんなさい。またしても洋画じゃないんですけど、ここ数年では一番泣いた作品なのでノミネート!でも、宮崎駿監督の最後の監督作品(今のところ)ということで、米アカデミー賞の長編アニメ賞にもノミネートされたので、あながち全米が泣いてないわけじゃないです。
この映画の涙は5位以下の作品と全然違います。あざとい泣きどころはあんまりありません。何気ないシーンで、自分がビックリするくらい涙が出ちゃうんです。映画館で観たということもあったと思います。スマホの電源を切って集中して鑑賞して下さい。
主人公は実在した零戦の設計者「堀越二郎」ですが、文学者「堀辰雄」のエピソードも混ざっています。第二次世界大戦とか結核の妻とか、涙要素がいろいろ散りばめられてるけど、あんなに泣けたのはそれが理由じゃないように思います。とにかく台詞がキレイ。美しい日本語!
しかしながら引っかかるのはタイトルの「風立ちぬ」という日本語。この言葉は堀辰雄の同名の小説に由来します。この小説の中に「風立ちぬ いざ生きめやも」という言葉があります。これは「風が吹いてきた。さあ生きよう」ということ。この映画のキャッチコピーも「生きねば。」です。
そうです。人は辛くても生きねばならないのです。どうですか?何か起承転結がある言葉じゃないですよね。でも、爽やかで力強くて美しい。そういう映画なんです。
どこのシーンで泣けたか?と聞かれても難しいけど嗚咽級なんです。
ちなみに主人公の声優はあのエヴァンゲリオンの監督をしている庵野秀明。当然、声優原人なわけだけど、棒読みっぽく話す日本語が逆に良かったと思います。
宮崎駿監督は製作に入る前にオフィシャルサイトで
「リアルに、幻想的に、時にマンガに、全体的には美しい映画をつくろうと思う。」
とその意気込みを語っています。
まさにその通りの作品に仕上がってます。宮崎駿監督から僕たちへの最後の贈り物。震えて泣いて下さい。
3位
レナードの朝
夕あり朝あり。朝を迎えられている毎日に感謝!
さあ、いよいよ銅メダルです。レナードの朝。7位のロレンツォのオイルに近い映画で難病がテーマ。難病に立ち向かうセイヤー医師(ロビン・ウィリアムズ)と患者レナード(ロバート・デ・ニーロ)のお話です。ロレンツォのオイルよりも順位が上なのはやはり二人の役者のおかげだと思います。この二人は大好きな役者なんです。
それだけに、ロビン・ウィリアムズが自殺したと聞いたときはショックでしたね・・・。あれだけ人を笑わせたり、感動させたりした人が、そんな悲しい結末を迎えてしまうなんて。
この映画の原題は「AWAKENINGS」。直訳すると目覚めですね。レナードが30年の昏睡状態から目覚めて幸せな日常を取り戻していきます。ネタバレしないようにこの作品の素晴らしさを伝えるのがなかなか難しいのですが、ありていに言ってしまうと、今日の幸せをしっかり噛みしめて生きなきゃ!ってことなんです。
あれが欲しいとか、もっとこうしたいという欲望や希望を失ってはいけないけど、いま手にしている幸せに感謝することも忘れずに日々過ごしたいものです。
2位
シンドラーのリスト
金の亡者だったナチス党員が、私財と引き換えにユダヤ人の命を救う!
銀メダルはシンドラーのリストです。この映画を観たことが無い人もあらすじは知ってるんじゃないかと思います。ナチス支配下のポーランドでドイツ人のシンドラーが多くのユダヤ人を救ったお話で、ユダヤ系アメリカ人であるスティーヴン・スピルバーグが監督しています。
このくらいの前情報は持っていたので、シンドラーはさぞかし立派な人格者なんだろうと思っていたんだけど、案外そうでもない。一攫千金を狙ってポーランドにやってきて、無類の女好き。安い労働力であるユダヤ人から搾取する立場の人だったんです。平たく言っちゃうと嫌なヤツでした。
そんなシンドラーがユダヤ人が理不尽に殺されていくのを目の当たりにしていくにつれて段々変わっていく。戦争というのは人をおかしくしてしまう。普通の人が人を平気で殺せるようになってしまうものだと思っていたけど、嫌なヤツだったシンドラーは戦争によって危険をおかしてまでユダヤ人を救う良い人に変わっていくのです。
あれだけ金に執着していたシンドラーが、私財を投じて一人でも多くのユダヤ人を救うようになったその変化に心を打たれました。善人が善い行いをしたお話じゃないんです。女好きの金の亡者が善い行いをしたお話です。
シンドラーはその後イスラエルから「諸国民の正義の人」の称号をもらっています。シンドラーが救ったユダヤ人の数は約1,100人。しかし、ホロコーストで虐殺されたユダヤ人は600万人だそうです。戦争によって自分の良心を見つけた人と良心を見失ってしまった人による悲劇に涙が流れます。
1位
いまを生きる
Oh Captain,My Captain・・それが全てだ!
全米を泣かしてきた数ある映画の中から、栄えある金メダルに輝いたのは「いまを生きる」です!
正直言って2位から10位まではだんご状態で、10位の告発が2位に来ても違和感が無いくらいの差ですが、1位のいまを生きるだけは背中が見えないくらいのぶっちぎりです。
僕が中学の時に友達と映画館で観ました。当時友達の間で映画を見に行くのが流行ってました。バック・トゥ・ザ・フューチャー2とかダイ・ハードとかいわゆる男の子が好きそうな映画を5,6人で観に行ってました。戦争ものということでグッドモーニング・ベトナムも観たんだけど、その時主演だったロビン・ウィリアムズの新作ということだったので内容もよく分からず観に行きました。たまたまその時は参加者が少なくて僕と友達の二人でした。思春期の野郎二人でこの映画を観て号泣してしまい、お互い気恥ずかしい思いをしたのをいまでもよく覚えています。渋谷の西武の隣にあった映画館だったな・・・。
その後大人になってからも数回観たけど、何度観ても号泣。ラストシーンは思い出すだけで泣ける自信があります。原題はDEAD POETS SOCIETYで、死せる詩人の会という主人公達のクラブの名前です。でもって邦題の「いまを生きる」というのは、キーティング先生(ロビン・ウィリアムズ)が教えるラテン語「Carpe Diem」を訳したものです。ダントツこっちの方が良いですね。英語だとSeize the dayです。劇中でも出てきます。英語のタイトルもSeize the dayの方が良かったんじゃないかなあ。DEAD POETS SOCIETYってなんかホラーっぽくないですか??
若かりし頃のイーサン・ホークも凄く良い演技してます。ラストシーンが一番鼻水が出る(涙は当然)のですが、地味に好きなシーンはニール(ロバート・ショーン・レナード)がトッド(イーサン・ホーク)の文房具セットを投げ捨てるところ。敢えてそのシーンの背景は書きません。観てない人は是非観て慟哭して下さい。観たことがある人ももう一度慟哭して下さい!
いかがでしたか?
もちろんこれ以外にも泣ける映画はたくさんあります。僕はショーシャンクの空にとかアルマゲドンとかベタベタな映画でもボロボロ泣けちゃいますが、その辺はあらためてランキングに挙げるまでもないので外しました。
会社の先輩で一番泣いた映画は少林サッカーだという人がいました。さすがにそんな人は珍しいと思いますが、皆さんもオススメの泣ける映画があれば是非CHANNELCINEMA.COMで投票して下さい!