京都が舞台の映画を集めてみました!東京から京都に引っ越して早10年。
引っ越しが決まった時は京都はよそ者に冷たいとか、意地悪とか散々脅されたけど、全然そんなことないです(ま、京都のコアな部分はわからないけど)。歴史も文化もあって、都会でもあり自然も豊かであり、人も多すぎず少なすぎず(観光客はすごい多いけど)、ズバリとても住みやすい街です。
京都人は京都から出たがらないと言うけど、その気持ちよくわかります。そんな素晴らしい街京都を舞台にした映画のランキングです!
10位
マザーウォーター
睡眠導入剤混入映画
京都が舞台の映画ランキングなのですが、この映画は京都が舞台というのではなく、単にロケ地が京都なだけかもしれません。
なぜならキョンキョンも小林聡美も市川実日子も加瀬亮もみーんな標準語を話すから。作り手ももしかしたら京都が舞台という設定にはしてないのかもしれません。とある地方都市に流れ者が流れ着いて出会ったという設定なのかも。
もちろん街並みは京都だし、ああ鴨川だなあと思うし、バー、豆腐屋、カフェ、銭湯も京都っぽいわけですが、登場人物が標準語で話していると京都という感じは全くしません。
「北の国から」なのに登場人物が全員関西弁を話したら違和感を感じると思うのですが、まあそういうことです。
キョンキョンの京都弁聞いてみたかった・・・。
9位
壬生義士伝
過剰な催涙弾の逆効果
登場人物が死ぬことによって泣かせるやり方というのはちょっとずるいと思ってます。約2時間、感情移入させたキャラクターが死んだら、そりゃあたいていの人は泣きますよ。
本作は原作が浅田次郎なのですが、浅田次郎の小説はいかに読者を泣かせるか?ということが目的になってることが多いように思います。残念ながらこの映画はそういう作品に思えてしまいました。全てクライマックスで泣かせるための演出というか・・・。あざとく感じましたね。クライマックスで、ここ泣くとこですよ!さあ泣いて!もっと泣けと脅されてるようで、しかもそのシーンがダラダラと長いもんだから、逆にどんどん冷めていってしまいました。
詳しくは書けませんが、壬生は個人的に縁が深いところなのでこんな人たちが壬生で暴れてたのねえ・・という気持ちにはなったけど、映画としてはちょっと残念でした。
8位
鴨川ホルモー
京都は学生と妖怪の街!
京都は学生の街と言われるくらい学生が多く、なんと京都に住んでいる人の10人に1人が学生なんだそうです。歴史があるだけじゃなくて活気も感じるのは若くて元気な学生がたくさんいるからなんでしょうね。この映画は京都大学、立命館大学、京都産業大学、龍谷大学という4つの京都の大学が実名で登場します。お話そのものは突拍子も無いのですが、学生ならではの雰囲気がリアルに描かれているので京都!って感じがします。
それにしても山田孝之ってめっちゃくちゃカッコイイのにこういうギャグ映画で笑いもとれちゃうじゃないですか。本当にすごい役者だと思います。一方で濱田岳は正統派お笑い担当としての実力を遺憾なく発揮してます。最近笑ってないなというあなたにオススメです。
7位
夜は短し歩けよ乙女
妖怪に出くわしても不思議じゃない?
宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」はずいぶん前に観たのでストーリーをすっかり忘れてしまいましたが、千尋の両親が豚になって料理を貪っているシーンは強烈に脳裏に焼きついています。現実と幻想がぐちゃぐちゃになっていて不思議でちょっと怖い雰囲気でした。
この映画は全般的にそんな雰囲気があった気がします。リアルに描かれた京都が舞台なのに、摩訶不思議な妖怪のようなキャラクターが出てきて実に面妖な雰囲気。ところが不思議なことにそれが何故か京都らしさを非常によく表しているんですね。なんか京都っぽいのです。もちろん木屋町を歩いても妖怪に会うことなんてないし、左京区に行ってもあそこまで風変わりな学生たちもいないんだけど、この空気感はまさしく京都。京都を知らない人がこれを観て、これが京都なんだって思うと誤解を生じてしまうと思うけど、京都に住んだことのある人ならなんとなく分かるんじゃないでしょうか。
長い歴史がある一方でそこそこの都会要素もあり、日本の伝統を重んじる一方で国際的な観光都市でもあるから外国人もいっぱいいるというような色々な要素がごっちゃ混ぜになってるところが、ファンタジーな雰囲気を醸し出してる街にしているんじゃないかと思います。
ストーリーは正直好みではなかったけど、京都の良い雰囲気はしっかり感じられる良作です。
6位
舞妓はレディ
監督:周防正行
出演:上白石萌音/長谷川博己/富司純子/田畑智子/草刈民代
一見さんお断りの京都に生きるということ
京都の舞妓さんや芸妓さんは有名ですが、京都に10年住んでも芸妓遊びというものをしたことがありません。それでも花街で飲んでいると舞妓さんや芸妓さんに遭遇することがあるので、東京と比べると芸妓さんは身近な存在だと思います。
この映画の花街の雰囲気は祇園新橋の辰巳大明神あたりをイメージしているようですが、花街の名前は下八軒。北野天満宮近くの花街の上七軒をもじったのでしょう。以前太秦に住んでいた時に上七軒の舞妓さんビアガーデンに行ったことがあります。キャバクラみたいに舞妓さんが入れ替わり立ち替わり席についてくれるのですが、そこで話した舞妓さんのほとんどが地方出身者でネイティブ京都の舞妓さんは一人もいませんでした。
この映画でも舞妓になるために修行する主人公の女の子は津軽出身。上白石萌音のいい具合に洗練されてない感じが実に見事に津軽感を出していて良かったですねえ。青森の人には申し訳ないけど絶妙な田舎者感でした。
今では随分スタイリッシュになった蒼井優を初めてフラガールで見た時と同じような雰囲気を感じました。この主人公に京都弁を教える大学教授も京都出身じゃない。二人とも京都育ちでないながらも京都に魅了されて京都で生きていくあたりが自分の境遇と相まって最後は泣けてしまいました。
5位
ぼくは明日、昨日のきみとデートする
細かいところには目を瞑ってみるべし
マザーウォーターと同様にこの映画も全編標準語で進んでいくのでネイティブ京都人からすると違和感があるかもしれませんが、叡電とか三条大橋とかみなみ会館というコテコテな京都キーワードが出てくるし、鴨川デルタとか伏見稲荷とか視覚的にも京都を感じさせるシーンが多数なので、京都が舞台という感じはします。
中高生向けのキュンキュン恋愛映画だろうと完全に油断していたせいか、カウンターを食らって終盤でまさかの落涙(笑)。ファンタジーとしてはやや複雑すぎるのでは?という設定ながらも泣けたのは、共感できる何かがあったからだと思います。僕は自分の妻との関係がこの境遇だったらどんなに辛いかと想像してしまいました。恋人がいる人は相手を想って観るといいと思います。
一緒に居られる1日1日を大切にしようって思えますよ。
4位
古都
監督:Yuki Saito
出演:松雪泰子/橋本愛/成海璃子
伝統を守るか、自分の道を生きるか
川端康成の「古都」の後日譚を描いた作品なので、小説を読んでいるとより楽しめるはずですが、読んでなくても大丈夫です。私もそのクチだけど十分楽しめました。ただ、小説を読んでないと前提を飲み込むのに時間がかかるので前半はまどろっこしく感じるかも。松雪泰子が一人二役を演じている理由が分かるまで、紛らわしすぎるわ!ってちょっとイラっとしました。ま、逆にその理由がわかった時のすっきり感を楽しめるは原作を知らない人の特権です。
東京から京都に移住した僕が思うのは京都は非常に住みやすい街ということ。必要なものが全て適度に揃っている街だからです。歴史、文化、都会の雰囲気、自然があって、人も多すぎず少なすぎず。京都の人はなかなか外に出たがらないと聞くけどその気持ちはよく分かります。居心地が良いので他に行く気がしないのでしょう。
だからこそ伝統を守れる一方でそこに縛られることも多い。「こうでなければならない」と考えが凝り固まっていることもあるように思います。この映画も、長い歴史を持つ家業の家に生まれたからにはその家業を継ぐのが当然という暗黙のルールがテーマ。
親の決めた道を生きるのか、自分の生きたいように生きるのかというテーマの映画では最大の障害は親です。親をいかに説得するかがキモ。
でも、京都では障害は親だけじゃない。京都は巨大かつ強固な村社会。親だけじゃなくて親族や取引先など関係各位の了承が必要なんですねえ。ま、実際にそんなに強いしがらみが今もあるのか分かりませんが、確かにそういう雰囲気を感じることはあります。
あと映画のエンディングというか落とし方ですが、ズバリ凄く良かったです。もっとベタにドラマティックにすることもできると思うんだけど、ぐっと抑えて観客に想像させる終わり方。京都っぽい!んじゃないかな?
偉大な名作の後日譚だけに、さらにその後日譚を想像して楽しめるような素晴らしいエンディングでした。
3位
パッチギ!
オダギリジョーは無事であってください
在日コリアンをテーマにした映画です。在日コリアンについては各種各様の意見があり、ここをその議論の場にするのは避けたいし、これに関して僕の知見が足りてないので何も言うことはできないのですが、一つ言えるのは京都は東京と比べると在日コリアンの方に会う比率は高いということです。飲み屋で飲んでいてたまたま話した人やお店の人が在日コリアンの方だったことが3回あります(何故か全員キムさんでした)。東京では一度もありませんでした。まあ、東京では飲み屋で一緒になった人や店員さんと話す機会がそもそも少なかったのですが。在日コリアンに対して特別な感情がなくても、そこには複雑な問題もあることも知っているので「キムです」と挨拶された時にどういう反応をするのが正解なのかよく分かりません。でもどのキムさんもそういう戸惑いには慣れっこで私の若干の戸惑いを見透かしたように「そうです。在日なんですよー。」って感じで気さくに話してくれました。
一人のキムさんが言っていたのですが、朝鮮学校では金政権を支持する教育も受ける一方で、日本人と仲良く暮らしていかなきゃいけないんだから日本を敵視してはいけないと教わっているとのことでした。人類皆兄弟などというのが綺麗事というのは分かりますが、一人一人の交流は問題なくても、国対国になるとそうはいかないのが不思議といか悲しいというか。
この映画を観たのは10年以上前だと思いますが、その時は純粋に良い映画だなあって思えました。でも、まだこの映画を観ていない人が今この映画を観ても純粋にそうは思えないかもしれないですね・・。何しろキャストがいわく付きの人ばかり。
塩谷瞬(二股発覚号泣)、沢尻エリカ(別に・・)、高岡蒼佑(フジテレビ批判で引退?)、小出恵介(未成年淫行で謹慎)、真木よう子(体調不良で降板)と問題を抱えている人が多いのです・・。前にも違うランキングで紹介しましたが、作品としては本当にいい映画なんですけどね。
2位
きょうのできごと a day on the planet
監督:行定勲
出演:田中麗奈/妻夫木聡/伊藤歩/柏原収史/三浦誠己/池脇千鶴/大倉孝二
非日常的な日常的世界
現実では味わえない非日常的な世界を疑似体験できるのは映画の醍醐味の一つ。映画の世界に入ればスパイになって政府の中枢に潜り込んだり、フォースを身につけてダークサイドと戦ったりできます。そういう意味ではこの映画では京都の学生のなんてことない1日をリアルに描いた作品なので、実に日常的な世界が描かれています。でもその世界に退屈せずとてもワクワクできたのは、その実にアオハルな日常が僕にとってはとてつもなく非日常的だから。
時計の針は戻せないので、全ての大人にとって学生時代は二度と体験できない世界。若い時に一度は経験しているところが、スパイの世界やジェダイの世界とは違うけど、この先二度と経験できないという点では同じ。むしろその素晴らしさを知ってしまっているからこその切なさがある分だけ、憧れが強い世界かもしれません。
僕は30歳を過ぎて京都に引っ越したのですが、学生時代を京都で過ごしたらどうだったのかな?ということを想像しながら楽しめました。
ちなみに最近関西弁のイントネーションが移ってきたと言われる僕ですが、妻夫木くんの関西弁はどこか違和感がありました。でももちろん僕はネイティブ関西弁スピーカーじゃないから目を瞑れるレベルだったけど、ネイティブ関西弁の人が聞くとちょっと気持ち悪いのかもしれません。
1位
花戦さ
日本のルネッサンスは京都にあり!
日本の伝統文化である華道と茶道の物語を、伝統芸能である能楽と歌舞伎の役者が演じている映画です。そう紹介するとどうもお勉強くさい映画のようですね。正直、僕もそう思っていてあまり期待していませんでした。事前の期待値が低かったせいもあるかもしれないけど、結果的にはエンターテイメントとしても充分楽しめました。そして華道と茶道の奥深さも、さわりだけ感じられたように思います。
16世紀後半は千利休の茶、池坊の華、楽の茶碗、日本にとって重要な文化が始まった時期だったんですね。まさに日本のルネッサンス。京都はいわばフィレンツェみたいな街だったのでしょう。このような文化が栄えるにはメディチ家のようなパトロンや理解者が必要。史実かどうかわからないけど劇中で信長は
「武人たるもの、お茶と華を、人の心を大事にせよ。それこそが人の上に立つものの道」
と家臣に話しています。今でも京都はその考えが根付いていて京都の多くの財界人が茶道を嗜みます。500年以上も前の文化が今も脈々と受け継がれているのは、それが「道」だからだと思います。お茶もお華もそれぞれ「道」という「生き方」に近いものになっています。
なぜお茶やお華が「道」になったのか。それは千利休や池坊専好に代表されるような過去の偉人たちが命を賭して作り上げたものであり、それだけの価値があるものだからだと思います。その価値が理解できたとまでは思わないけど、そういうことがひしひしと伝わって来る素晴らしい作品でした。ということで、やっぱりやや「お勉強」的なレビューになってしまったけど、難しいことを考えずに気楽に楽しめる作品でもあります。そういうところもこの映画の素晴らしさだと思います。ズバリオススメです!
六角堂は随分前に一度だけ行ったことがあるけど、もう一度行ってみよう!
いかがでしたか?こうしてランキングを作ってみて改めて京都の魅力、素晴らしさがわかりました。京都の魅力は寺社仏閣だけじゃないんです。学生の活気、妖怪に出くわしそうな面妖な雰囲気、茶道、華道などの伝統文化、国際観光都市の顔、舞妓さんや芸妓さん、いろんな魅力がたくさんです。京都で生まれ育った人だけが知っている魅力もあれば、よそから来た人だからこそわかる魅力もあると思います。
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