日本VSセネガル@エカテリンブルク・アレーナ

2006年ドイツワールドカップ以来12年ぶり、日韓含めて通算3度目のワールドカップ現地観戦にやってきました。初戦のコロンビア戦に見事勝利して迎えた2戦目のセネガル戦。この試合に勝てばまさかの1試合を残して予選リーグ突破が決まるかもしれないという試合です。
市内のホテルを15時半頃出て、歩いてスタジアムに向かいます。途中のレストランでボルシチ、ペリメニ(ロシア風水餃子)を食べていざスタジアムへ!セキュリティチェックが厳しいので早めにスタジアム入りするようにとFIFAからお達しがあったのでキックオフ2時間前くらいに着くように向かいました。スタジアムは街の中心地から歩いて15分くらいのところにあります。スタジアムが近づくにつれてボランティアスタッフがちらほら。ハイタッチ用のでっかい手の形をした手袋(なんていうんでしょう。パーティグッズみたいなもの)で観客を迎えてる。みんな笑顔でハイタッチしていきます。ちなみにハイタッチは英語ではHIGH FIVEと言うらしく、
「ハーイ、ハイファイブ!」
と言われます。ハイタッチは和製英語なのかな?日中のエカテリンブルクの街もそうだったけど、セネガル人はあまり見かけません。ロシア人7、日本人2.8、セネガル人0.2くらいの比率かな。
10分くらい歩くとスタジアムが見えてきました。

ゴール裏のスタンドがはみ出したエカテリンブルク・アレーナ

エカテリンブルクのスタジアムは収容人数が規程に達していなかったので、特設したゴール裏のスタンドが話題になっています。とってつけたようなスタンドが骨組み丸出しで怖すぎるということで。日韓W杯の時も神戸のスタジアムのゴール裏が特設スタンドになっていたけど、こんなにとってつけた感はなかったと思います。
間近で見ると確かにはみ出てるなあ。しかも日差しがきつそうだ・・。早速敷地に入ります。FAN IDとチケットのバーコードをかざして入場。転売で買ったチケット、つまりFAN IDと名前が一致しないチケットで入場できるのか?という懸念が話題になっていましたが、おそらく入場できるものと思われます。係員は名前のチェックはしていません。技術的には名前が違っているとエラーになるという仕組みを構築するのは容易だと思いますが、そうはしていなさそうです(一部のスタジアムでチェックをしていたという情報もありましたが真偽のほどは不明。今後のワールドカップでもこの問題は付いて回ることでしょう)。もちろん、僕らは自分の名前のチケットなので、厳しいチェックだったとしても問題ないけど。

エカテリンブルク・アレーナの特設スタンド

敷地内ではグッズ売り場とかドリンク売り場が物凄い人だかり。フェイスペインティングコーナーも長蛇の列。グッズもドリンクも野球場のビール売りみたいに少量の商品を持って売り歩いているスタッフがいるので、とりあえずパンフレット(800ルーブル。1ルーブルは約1.8円)を購入。ビールは400R、水やコーラは200R。高いけどまあこんなもんでしょうね。敷地内のオーロラビジョンで、日本代表のバスがスタジアムに近づいている映像が映し出されました。もうすぐ来るんだろうか?敷地をグルーっと回って選手入り口を発見!だけど、すでに日本代表のバスは到着していて選手たちはスタジアム入りした後だったようです。ま、仕方ない。僕らもそろそろ席に着こうかねという時に奥さんが芸人のいや、芥川賞作家の又吉先生を発見。ワオ!お一人だったので握手して写真を撮らせてもらいました。やっぱり芸能人の人もたくさん来てるんだろうな。いよいよ僕らも席に行きます。入場ゲートでもう一度チケットを見せてスタジアム入場。今日の席はバックスタンド2階席。僕らのチケットはカテゴリー2なので、席割りではコーナー部分なんだけど、このスタジアムはコーナー席がほとんどないせいか、カテ1のような席でちょっと得した気分です。

バックスタンド2階席。カテ1のような席。

今回のロシアワールドカップは全スタジアムがサッカー専用。やっぱり専用スタジアムは雰囲気がいいなあ。しかもバックスタンド2階席は席の前に手すりが付いてる。ここに荷物かけたり、肘ついてのんびり観ることもできてかなり観戦しやすいです。まあそんなにのんびりするような試合にはならないだろうけど。

2階は全席手すりが付いていて見やすい。

席の右隣は僕らより少し年配の日本人ご夫婦でした。旦那さんが熱狂的なサッカーファンでツアーでいらっしゃったとのこと。非常に気さくな方でした。左隣はロシア人の親子。街中で会ったような陽気な感じではなく、寡黙な感じ。そうこうしているうちに選手のアップが始まり、スタメン発表。1試合目と同じスタメンで以下の通り。
GK 川島
DF 酒井宏樹、吉田、昌子、長友
MF 柴崎、長谷部、原口、香川、乾
FW 大迫
W杯前は誰を入れろとか、外せとか色々な思いがあったけど、ここまで来たら出た人を全力で応援する。頑張れ日本!
対するセネガルのスタメンは以下の通り。
GK N’DIAYE
DF WAGUE,SANE,KOULIBALY,SABALY
MF N’DIAYE,GUEYE,N’DIAYE
FW SARR,MANE,NIANG
ワールドカップの日本戦を観戦するサッカーファンとしてちょっともどかしいのは、当然日本代表の勝ち試合を観たい一方で、サッカーファンとして有名なチームや選手も観てみたいという気持ち。有名チームとの対戦であれば、当然勝ち試合となる確率は下がる。今回のグループリーグのチームだとコロンビアやハメス・ロドリゲス(ま、今回は勝ったわけなのでコロンビア戦を観た人は最高でしたね)。そういう意味ではセネガルは勝ち点を計算できるほど弱いわけでもないけど有名チームというわけでもない。ちゃんと知ってるのはマネくらいで、事前の予習でやっとクリバリを覚えた程度。あとは知らない選手ばかり(しかもN’DIAYEという名前の選手が3人もいる)。ま、いいんです。有名な選手をたくさんみた上で、W杯の日本の勝ち試合を観たいなんて贅沢は言いません。とにかく今日は勝ってくれ!!

試合前に両チームの応援ソングが流れます。
日本はウカスカジーというミスチル桜井さんとGAKU-MCのユニットの曲。W杯前の壮行試合ガーナ戦で無得点で敗れた後のイベントで歌って、歌ってる場合じゃないだろ的な感じになったらしい。つい最近知ったばかりでまだ1,2回しか聞いたことないけど、幸い大画面スクリーンに歌詞が映し出されるので大声で歌おう!(ちなみにこの曲は4年前のブラジル大会の時から使われてるらしい)
・・と意気込んだんだけど、桜井さんのパートは字余りだし、GAKU-MCのパートはラップだしで、全く歌えない。周りの人もそんな感じで、結局サビの「オ、オ、オ、オ、オーオオ、オー、オ、オ、オー」のところしかみんなで歌えない。うーん、なぜ応援ソングをこんなに誰も歌えない難しい曲にしちゃったんだろ・・・。サビはいいんだけどねえ。一方のセネガルの応援ソングはそもそもセネガル人が少なく、歌ってる人はほとんど見当たらない。そのかわりに、メインスタンド1階に陣取っっているセネガルサポーターが民族音楽のリズムを刻んでいて、人数は少ないのにこのリズムがスタジアムに響き渡って、なんとなくスタジアムはアフリカンな雰囲気に。
そしてついに選手入場。

試合前の演出好きです

ロシア大会の入場パフォーマンスはすごく良いですね。大会ロゴと両チームの国旗のシートを持ったスタッフがフィールドに登場して、一気にシートを広げるシーンはとても綺麗。そして入場曲もすごく盛り上がります。ウカスカジーの曲との違いを文字で表現するのは難しい(というかほとんど無理)なんだけど、例の
「オー、オ、オ、オ、オ、オーオ」ってやつです(笑)
スタジアムみんなで歌ってすごくいい雰囲気。やっぱりワールドカップは世界最大のお祭りなんだなあ。

いよいよキックオフ。序盤は一進一退。選手は2試合目だけど、僕ら夫婦にとっては初戦なのでかなり緊張(笑)。特に奥さんは初のワールドカップの日本代表の試合観戦。とりあえず序盤はとにかく失点しないように・・。という願いもむなしく前半早々に失点。再三言われているように結果的には川島のミスがあったわけだけど、近くで観れたのですが失点の瞬間はシュートがややブレたか?マネが狡猾に詰めてたのか?んー残念・・という感じでした。・・まあ、良くも悪くもまだ試合は始まったばかり。まだまだ悲観的にはならない。日本のゴールを信じて応援します。すると徐々に日本ペースに。この辺り何がどうなって日本ペースになったのか分析できるようになりたいけど、残念ながらよく分からない。とにかく日本がボールを保持します。そして迎えた30分過ぎ。
柴崎のロングパスから長友がトラップ!その後小さい選手がシュート!パサーっとゴールネットが揺れた!
スタジアム大爆発(笑)興奮の坩堝。ロシア人もとにかくゴールが見たいから大喜び。周りの日本人やロシア人とハイタッチして喜ぶ。それにしてもゴールしたのは誰だ?金髪の長友はどこにいてもわかるけど。お隣さんと多分真司(香川)ですかね?なんて話してたら、乾のアナウンス!そうか乾だったか。あの程度の茶髪だとこの距離だとよく分からないな(笑)いいぞ。色々な選手が点を取るとチームに勢いが出る。
前半は1-1で終了。いやー前半のうちによく追いついた!ハーフタイムをリラックスして過ごせるわ。
後半は日本ペースで始まる。だが、長谷部が負傷。相手の肘が入ったのか鼻血がすごい(スクリーンに映し出されてました)。んー、今長谷部を失うわけにいかない。骨折してませんように。何度かピッチを離れたけどどうやら大丈夫のようだ。その後大迫がビッグチャンス!ああ・・空振り・・・。うわあ・・今日はハンパない日じゃないのか。ここで決めたら大迫の大会になっていたでしょう。その直後に今度は大迫とのコンビネーションから乾が芸術的なシュート!惜しくもバー直撃!
ああ・・非常に嫌な雰囲気。決定機を何度も逃していると、心理的に追い詰められてしまうもの。そして相手は勢いづいてしまう。その直後にセネガルが選手交代。すると徐々にセネガルペースに。ここまでの試合を見る限り日本の方がいい試合をしてる。でもどうしてもセネガルの時間帯というのはやってくる。戦術は詳しくないけど、そういう流れみたいなものはなんとなくわかります。ここを乗り切れば勝てる。少なくとも負けはないと思った時間帯に失点・・・。ああ、もったいない。日本は何度も決定機を外して、セネガルはほんの少しの自分達の時間帯で点を取った・・。この辺が世界との差か。残り20分。これまでの日本代表の典型的な負けパターンです。惜しい、あと一歩、あれが決まってれば・・それの繰り返し。でも今日はさっきの流れが本当に良かったから、もう一度さっきまでのペースに戻せれば点は取れるかもしれない。そんな感じでまだ諦める雰囲気にはならなかった(当たり前かな)。失点直後に原口と香川を下げて本田と岡崎投入。んー本田かあ・・。さっきまでの良い流れは素早いパス回しのリズムで作り出していたような気がしたので、本田や岡崎のスピード感はちょっとリズムを崩すのでは・・とちょっと不安だったけど、心配してもしょうがない。とにかく頑張れ!
なんて心配は杞憂でした。本田と岡崎の投入直後。大迫から岡崎へ。キーパーと岡崎が潰れてこぼれ球を乾が中央へ折り返して・・待っていたのは・・ケイスケ・ホンダ!!!!
ちょうど乾の背中くらいの視線で観ていたのですが、ボールの軌道の先に本田が待ち構えているのがはっきり見えました。おおお!なぜそこにいてくれるんだ。決めてくれ頼む!一瞬の出来事だったはずなのにスローモーションに感じたなあ。ズドン!日本同点に追いついた!
再びスタジアム大爆発。1点目の時はたいしてリアクションしていなかった左隣のロシア人親子も拍手してくれてる。前後左右の人と喜びを分かち合う。前に座ってるロシア人が、
「彼(本田)はロシアでプレーしてたのを知ってるか?」
と誇らしげに聞いてきました。
「もちろんだよ!チェスカモスクワ!!」
試合中はほとんど写真は撮らないけどこの直後だけ撮りました。

本田の同点ゴール!!

帰国後この写真をズームしてみると、あの本田と岡崎のおふざけ敬礼パフォーマンスのシーンでした!

おふざけ敬礼パフォーマンスでした

いやー、本田で大丈夫か?なんて疑ってごめんなさい。よくやった。ごっつあんぽかったけど、案外難しいと思います。あそこにいることが大事だし、冷静によく決めたよ。強気な西野監督はこれで満足せず勝ちきりを狙う。確かに今日は日本の方が良い。この勢いなら勝てるかも。残り5分を切って乾に変えて宇佐美投入。んー、乾を変えちゃうのか。今日は乾良かったからなあ・・。でもわからん。さっきも本田かとがっかり(ちょっとだけですよ)してたら本田が点取ったし。宇佐美頑張れ!!
が、時間が足りずこのまま2-2で試合終了。正直言って勝てたと思う。でも2度追いついた。批判されることが多かった本田が点を取った。サッカーの試合としても最高の試合だったと思う。いやーロシアまで来て良かった。次も頼むよ!

2-2の激闘でした

当然地元ロシア人も大喜び。たくさんのロシア人が一緒に写真を撮ってくれとせがんできます。なんと警備中の警官も写真を撮ろうと言ってきました。セネガルの人ともたくさん写真を撮りました。全員弾けるような笑顔。すごくいい雰囲気。ワールドカップは間違いなく世界平和に貢献してる。ロシア人とこんなに喜びを分かち合えるイベントって他にはないですよね。

試合後のライトアップ

スタジアムに来た全員が満足してスタジアムを後にしました。みんな大興奮で街中へ歩いて帰ります。ロシアコールや日本コール。スタジアムには来ていなかったと思われる人からもハイタッチ(いやハイファイブか)されます。ロシアで人気のチョコをくれたり、幸運の象徴だと言ってお手製のてんとう虫のブローチをくれたり、もうとにかく幸せ。夏のエカテリンブルクの日没は遅く、22時を過ぎてもまだ空は少し明るい。4年に一度のお祭り。ああー最高だああ!!

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