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本の感想

龍時03-04

龍時03-04の感想

シリーズ第三作「龍時03-04」を読んだ。二作目があんまり面白くなかっただけに、今回はあまり期待してなかったけど、一作目のような面白さがあった。
今回の舞台はアテネオリンピックで、テーマは「監督とキープレーヤー」。平義監督の人物像が丁寧に描かれていて感情移入しやすかった。まあ監督と奥さんとの秘密は「そんな馬鹿なー」って思わなくもなかったけど、そんなささいなことには目を瞑れるくらい面白い。実際のオリンピックでは選考から漏れた鈴木啓太(浦和レッズ!)もしっかり登場するのも最高。ただ、目次を見た瞬間に日本がどこまで勝ち進むのか分かっちゃうのは勘弁してほしかった。「どうせ勝つんでしょ」っていう前提で読んじゃうから。
作者の野沢尚が自殺してしまった為、この三作目が最終話になってしまったのは本当に残念。文中で平義監督と選手達は長いつきあいになりそうだっていう表現もあったように、おそらくこれから龍時と平義監督はA代表に入ってドイツあるいは南アフリカで大暴れしたはずなのに。巻末の中西哲生との対談では龍時の引退後の人生も描きたいって言ってたのに。しかも自殺の10日くらい前に行われた対談で。やっぱり自殺って一種の発作なんだな。ほとんどの時間は死のうなんて考えてないはずなのに、一瞬急激にそういう気持ちになっちゃうんだろうね。こういう才能に恵まれた人にしかわからない悩みってもんがあるんだろうけど、せっかくの才能がもったいない。日本サッカー文化の発展に貢献していけたはずなのに。・・残念だ。
ちなみにこの本を読んで知ったんだけど、スター選手の周りで働き蜂のように動く選手のことをドイツ語でバッサ・トレーナーというらしい。直訳すると水を運ぶ人。そういえばドイツW杯に選出された日本代表メンバーについて、オシムは「ファンタジスタばかりを集めて誰が水を運ぶのか?」って言ってたけど、そういうことだったのね。その時はオシム独特の言い回しなのかと思ったら、そういう表現がもともとドイツ語にあったんだ。
ってことはオシム!日本人で水運びが一番巧い鈴木啓太を選んでくれるよね?頼むよー!

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