カテゴリー
本の感想

夜のピクニック

恩田陸著「夜のピクニック」の感想

今、テレビで映画版のCMがガンガン流れてる恩田陸の「夜のピクニック」を読んだ。
24時間かけて80キロを歩く「歩行祭」という高校生活のメインイベントに参加する生徒達を描いた青春小説。
青春小説とか言われると何をもってして青春なのかと考えちゃうけど、この小説を読んで思ったのは、ささいなことで喜んだり傷ついたりして、悩みながら自分の生き方を探してる時期を青春というのかなってこと。
大人になって振り返るとなんであんなことで喜んだり泣いたりしたのか分からないような、いろんなことが特別に感じられて、生きてることが大好きで意味もなく興奮してる(by THE BLUE HEARTS)時期だ。それがいつの間にか、最初は特別だった出来事も経験を重ねてくうちにだんだん当たり前になっていく。ちょっとやそっとじゃ感激しないし、傷つかない大人になっていくわけだ。でも大人になるためにはバカな失敗や回り道をたくさん経験して傷つかなきゃいけない。
僕の青春時代に問題があるのかもしれないけど、自分の高校・大学時代を振り返ってみると、楽しかった思い出もあるけど、青臭くて恥ずかしくて思い出したくない記憶のほうが多い。懐かしいけど、戻りたいなんて絶対思わない。多分みんなそうでしょ?あれ違う?
随分僕の青春論が長くなったけど、この「夜のピクニック」は登場人物達が歩行祭を通じて、そんな青春時代に区切りをつける物語に思えた。青春まっただ中を描いているようだけど、実は特別に思えてたことが当たり前になり始めている段階を描いてるんじゃないかな。
それでも寂しい気持ちにならないのは青春時代にしっかり悩んで傷ついてこそ、その後の本当の人生を楽しめるんだっていう希望を感じさせてくれるから。
大人になると、日々楽しいことばかりじゃないけど、本当に好きなことを見つけられれば、どんだけ歳をとっても特別なものは特別なもののままだからね。
なんかそんな色々なことこ考えさせてくれた良い小説だった。
・・・やっぱ青春語ると文章がくさいね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です