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本の感想

佐藤多佳子「一瞬の風になれ」

佐藤多佳子著「一瞬の風になれ」の感想

去年の4月に営業から経理部に異動になって、経理の勉強をしなきゃいけなかったから、1年以上小説を読んでなかった。
ま、今も勉強しなきゃいけないことは山ほどあるけどちょこっと落ち着いてきたので久々に読んでみました。日々の生活があまりに無機質な感じだから、とにかく熱く純粋に感動できる本を!ってことで本屋大賞を受賞した佐藤多佳子の「一瞬の風になれ」をチョイス。イチニツイテ、ヨーイ、ドンの全3巻だけどあっという間に読んじゃった。
もうどっぷり青春。高校3年間の陸上部生活がしっかり描かれてるから読み終わったときは自分も卒業したような気分になったな。
損得感情なんて一切なくて、シンプルにただ速く走りたいっていう熱い思いを感じられたのが良かった。
速く走るっていうシンプルなゴールに向かってまっしぐらに突き進むことによって、人間的にもとても成長していく過程が良かったな。新二も連も仲間を思いやる気持ちとか、人を育てることとかが自然と身に付いていく。
特に連の成長が良かったな。些細なことかもしれないけど食べ物の好き嫌いが無くなるとか微笑ましかった。これも軸には「速く走る」っていう大きな目標があるからこそ。
結果的に速く走れたかどうかっていうのは実はそんなに大きな問題じゃないと思う。本気の努力は報われるということも描かれているけど、それよりも僕は本気で努力することの大切さを感じた。だからこそ物語がああいう終わり方になってるんだと思う。
競技のメインが4継(400mリレー)だったのも良かったな。
心に残ったのは
「人生は、世界は、リレーそのものだな。バトンを渡して、人とつながっていける。一人だけではできない。だけど、自分が走るその時は、まったく一人きりだ。誰も助けてくれない。」
っていう新二の思い。
チームワークは馴れ合いと紙一重だけど、一人一人がきっちり役割を果たすことが本当のチームワークなんだよな。
なんかそういう仕事してみたいなーってふと思った。
春野台高校の陸上部にすっかり共感しちゃったので、続編というかサイドストーリーみたいな物語が読みたいなー。

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