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本の感想

小さなスナック

リリー・フランキーとナンシー関の対談集。女性誌「CREA」の連載を本にまとめたもの。
二人とも色々な顔を持つけど、一番大きな看板はイラストレーターだと思います。
二人に共通するのはイラストレーターという肩書きだけではなく、「独特なモノの捉え方」が世間で評価されているということじゃないでしょうか。
この本はそれを証明していると思います。
ナンシーさんは凄く毒舌というイメージがあったけど、あまりにリリーさんが子供っぽいので、この対談では大人役を担ってバランスをとってるように感じます。
その辺りにも頭のキレを感じるなあ。
二人とも、頭が良くて自分に正直なところが素敵。自分がやりたくないことはやらない。やりたいことを一生懸命やる。そんなシンプルなことが出来てる人って実は少ない。
そんな二人が言いたいことを言ってる本ですね。
時折
「そりゃああんた、自分勝手だよ」
ってあきれちゃうところもあるけど、僕らがなんとなくもやもや感じていたことを的確に言い当てていることが多くて、思わず「なるほど!そうそう分かる!」ってうなずいちゃいます。
ナンシー関さんの消しゴム版画には、版画に彫っている人の人柄を面白くかつ的確に表現している一言が書いてあるけど、それに似た「的確さ」をビシビシ感じられる一冊です。
ご存知の通り、ナンシーさんは2002年に他界してしまいました。この本の連載中だったそうです。バカな話を山盛り読んだ後に、リリーさんのナンシーさん宛のメッセージを読むと泣けてきちゃいます。
ナンシーさんが亡くなった時は、ふーんとしか思わなかったけど、惜しい人を亡くしたんだとやっと分かりました。
それにしてもこの対談は「CREA」で連載されていたとのことですが、こんな対談を女性が喜んで読むんですね。それもちょっと意外でした。

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本の感想

伝える力

仕事で上司や他の部門の人に報告あるいは説明をする機会が最近多くなってきて、自分は知ってるけど、相手は知らないことを伝える難しさを痛感していました。
そんな僕にとって「伝える力」というこの本のタイトルは、思わず衝動買いしてしまうのに充分なインパクトでした。
著者は週刊こどもニュースの池上彰。どうやらベストセラーらしい。
「伝える力」を説明している本だけあってかなり読みやすく、理解しやすい。
書かれていることは特に目新しいことはあまりないんだけど、実践できているか?ということになるとあまり実践できていないのかもしれない。
一番身につまされたのは「演繹法」と「帰納法」のくだり。
前提ありきで話を進めるのが演繹法。いろいろな情報を集めて結果を出すのが帰納法。
本にも書いてあるけど、ビジネスパーソンの場合は時間がない為に演繹法を用いることが多い。全く同感。大体の感と経験から結果を決めつけて、その結果を理論武装する形で報告書を作ってく。途中であれ?間違ってるかもと思ってもなかなか引き返せない。
そういう報告は大体ダメね。相手に見抜かれて突っ込まれて、ゴメンナサイってなるのがオチ。とはいえいちいち膨大な時間を費やすわけにもいかないビジネスマンには緩やかな演繹法をお勧めしています。
仮説を立てて検証を行い、仮説と違うことに気づいたら潔く軌道を修正する。
それまでの検証が無駄になるなんて思っちゃいけません。仮説をくつがえす事実を発見した時に思わず見なかったことにしようとしてしまいがちだけど、そこは冷静に事実を見ないとダメですね。
うん。これもまあ分かっちゃいるんですよ。ただやっぱり実践できてないんですよね。
この本を読んだからって心が入れ替わるわけじゃないだろうけど、ちょっとでも気を付けてみようと思ったりしました。
あと、良いアウトプットをする為には、たくさんインプットせよとありました。
つまりたくさん本を読みなさいと。
そうだよなあ。これも分かっちゃいるんだけど、最近全然本を読んでないな。
いかんいかん。