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本の感想

P2

秋に京都に遊びに来たEから借りたサスペンス系の小説。
舞台がバチカンだったので、年末年始にローマに旅行する前に読んでみました。
ダン・ブラウンの天使と悪魔をちょっと安っぽくしたような感じなんだけど、かなり史実に忠実に作られているらしく、旅行前の勉強としては凄く良かった。
まず1978年に在位期間わずか33日で亡くなったローマ法王がいたということに驚きました。かなり短い在位期間が故に、このヨハネ・パウロ一世の死については当然様々な陰謀説がうずまくわけで、「P2」のような小説が誕生するのもうなずける。
33日という数字は、キリストが亡くなった年齢(33歳)と一致することもまたドラマを感じさせてしまう。
と、まあ素材はすごく良いと思うんだけど、ストーリーは荒削りだったなあ。謎の種明かしも、ふーん、ああそうですか、という程度。ロンドンとかリスボンとかヨーロッパ中を舞台にしているけど、伏線の全てがことごとく深みが無い。
バチカン、フリーメイソン、CIA・・・サスペンス小説にありがちな要素が盛り込まれ過ぎなんだと思う。
物語に深みをもたせるために、この小説が事実に基づいていると思わせる仕掛けが最後に待ってるけど、まあ単なる演出だろうなあ・・。
一応あとがきによれば、2018年9月29日にヨハネ・パウロ一世の死に関する証拠文書が公開されることになってるらしい。
そんなに待てないから、ウィキリークスで公開されないかな?

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本の感想

悩む力

姜尚中。
僕は日本で最も賢い雰囲気を醸し出している人といったら、真っ先にこの人を思い浮かべます。
学生の時に良く見ていた朝まで生テレビで活躍していたのを良く覚えています。
落ち着いた低い声で語りかけるその話し方もとてもクール。
賢い雰囲気だけでなく、ホントに賢い。
でも、今まで姜尚中の本は1冊も読んでなかったんだけど、ナンバーで長谷部がこの本をオススメしていたので読んでみました。
哲学的でよく分からん部分もあったけど、自分なりに解釈した結果強く共感できるところが多々ありました。
タイトルに「悩む」という言葉があるだけに、正解とはこうだと決めている感じは無く、読み手に対して「あなたはどう思いますか?」と語りかけているよう。
僕が感じたのは人とのつながりのあり方。
今はメール、ブログ、ツイッターで世界中の人とやり取りできる。僕も京都に引っ越した今でも友達との距離感を簡単に縮めることができる。知らない人とすらコミュニケーションできる。便利。
だけど、それで充実したコミュニケーションがとれているかというとそうではないと思う。
やっぱりコミュニケーションはface to faceだと思う。もちろんテレビ電話とかそういうことじゃなくて、実際に会って空気を共有するってこと。
メールやツイッターはそれを補う道具であってほしい。メールがきっかけで久しぶりに友達と会うことが出来たら良いと思うけど、メールしてるから会わなくていいやってなったら本末転倒だと思う。
必ずしも「便利、楽=幸せ」ではないってこと。
そのバランスは一人一人が悩んで答えを探さなくてはいけない。でもどんどん人は便利とか楽に流れていく。あんまり悩まないとそのスピードはどんどん増していく。
そんなことを強く思いました。
これは本からの引用ですが
「不自由だからこそ、見えていたものがあった。自由になったから、見えにくくなったものがある。」
そういうことだと思います。
これって、長渕剛のSTAY DREAMと全く同じですね。
「尽きせぬ自由は、がんじがらめの不自由さの中にある」
たまには、こういうこと考えると良いと思いますよ。