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本の感想

夕映え天使

浅田次郎著「夕映え天使」の感想

夕映え天使というタイトル、著者は浅田次郎。

これはかなり泣けると踏んで読んでみたものの、期待していた内容とはちょっと違った。

6つの短編が収められているけど鉄道員や歩兵の本領のように分かりやすく泣ける物語はひとつもない。
ややもするとSFテイストのものまである。

浅田次郎の作品をたくさん読んでいるわけじゃないからよく分からないけど、こういう作品も書くんですね。
とは言え、じーんと泣くことは出来なかったものの読んで良かったなと思いました。
理屈じゃ割り切れない人生の切なさ満載。
中でも「丘の上の白い家」は秀逸。関係ないんだろうけど浜田省吾の「丘の上の愛」となんとなくかぶる。
物語も似てると言えば似てるし。
ただ、浜省の場合は丘の上に住んでいるのは男性だけど、こちらは女性。
この世には教科書通りにならないことが山ほどあるっていうメッセージをビシビシ感じました。
正直者や頑張ったものが必ずしも救われるわけではないっていう世の中なんだと。
現実と真実が同義になるのは金持ちだけなのかもしれないということを。
ほとんど絶望的な気分になる物語なんだけど、左官屋のくだりは少しだけ希望を持たせてくれる。
ときには現実にまさる真実もあるのだと。
精一杯の根性が奇跡を起こすこともあるのだと。
人はその可能性にかけて正直に、一生懸命に生きようとするんじゃないかな。
現実に負けちゃうかもしれないってうすうす分かっていても頑張るべきなんだよ。

「夕映え天使」への2件の返信

丘の上の白い家は、秀逸ですね。
素晴らしいなんて言えない。
夕映え天使自体も色々なところに心が連れていかれました。

コメントありがとうございます。そうですね。「素晴らしい」というのとはちょっと違いますよね。努力は必ず報われるみたいな安っぽいメッセージじゃないところがイイなって思いました。

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