カテゴリー
本の感想

奥田英朗著「サウスバウンド」

奥田英朗著「サウスバウンド」の感想

上巻は東京の中野を、下巻は西表島を舞台に繰り広げる「家族」の物語。
以前住んでいた中野がリアルに描かれていてかなり懐かしかったなあ。
長男(何故か名前は二郎)の目線で描かれているけど、やっぱり一番いい味を出しているのは元過激派の父親。
西表島編は母親もかなり本領を発揮します。
父親のメッセージはブルーハーツっぽかったなあ。
「革命は運動では起きない。個人が心の中で起こすものだ。」
「これはちがうと思ったらとことん戦え。負けてもいいから戦え。人とちがっていてもいい。孤独を恐れるな。理解者は必ずいる」
過激派とまでいかなくてもこういう気持ちはちょっとでも持っていたいものだなあ。
例え経理の仕事をしていてもね(笑)
都会に住んでいるときは父親に嫌悪感を抱いていた二郎も、西表島に行ってからは次第に父親の素晴らしさを理解しはじめるのと同時に、大人の男として成長していく。
家族全体が暗くならないように、明るく振る舞ったりする気遣いは今の僕でも出来るだろうか。
そんな二郎もやっぱり過激派の血を受け継いでいるなって思ったのは
「常識から外れるのは、どこか快感があった。」
というところ。常識から外れるのが快感な人と不安な人がいるけど、僕はどちらかと言うと後者かな。
憧れはあるんだけど。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です