佐藤哲也という作家は全く知らなかったけど、伊坂幸太郎がエッセイで薦めていたので図書館で借りて読んでみました。
ジャンルも全く分からず読み始めると、堅い文章だったので哲学的な小説なのかなと思ったらかなりブッ飛んでる物語でした。
強いてジャンルを言うならSFなのかな?
ファンタジーと言うにはおどろおどろし過ぎるし。
ともかく13コの短編が収められてます。
リアルな感じで話が進んでいくんだけど突如、天井にはりつくカバがしゃべったりします。でもってそういう不思議な現象に対して、特に謎が明かされるわけでもなく謎が謎で終わります。
こういう突拍子も無い話ってある程度納得させてくれないとなかなか世界に入り込めないのは僕の頭が固いせいなんだろうか。歳か?
ショートショートSFといえば星新一が思い浮かぶんだけど、星新一みたいな明るくちょっと笑える雰囲気じゃなく、危険というか理不尽というかちょっと怖いというか・・。
謎が謎のまま終わるのが、また怖ーい感じを引き立てる。
登場人物がたんたんとしてあんまり感情を表に出さないところなんかは伊坂幸太郎の作品に通じるものがある気がする。
佐藤哲也作品をもっとハリウッド的に面白おかしくすると伊坂作品になるのかな。
で、結局面白かったか?と聞かれれば、つまらなくはないけどこの作家の作品をもっと読もうという気にはならなかったなあ。
まあ、読書の幅が広がって良かったです。
料理に対する深い愛情を感じられる物語ですね。
「食堂かたつむりの料理」という本が出版されているくらい、たくさんの料理が丁寧に描かれてます。
ただ、僕はその辺はあんまり興味無し。
作品中の料理や、優しい登場人物達に癒されもしたけど、強い印象を受けたのは
「人生は厳しい」
ってこと。
例えどんなに純真で優しい人でも、恋人にとても酷い形でフラれてしまったり、
誠実に生きていても病魔に襲われてしまったり・・。
努力とか誠実とかそういうことを無視して不幸が襲ってくるもんなんだと。
ただ、それでは主人公の倫子やその母親の人生が不幸だったかと言うとそうではない。
むしろその逆。
食堂かたつむりに不思議な偶然が重なったりするのは、努力とは無関係に不幸が襲ってくることの裏返しなんじゃないかと思う。容赦なく不幸は訪れるけど、努力し続ければ理屈で説明がつかないような奇跡(少しおおげさだけどあえて)が起こることもあるんだと。
それは、人生に突然訪れる不幸に怯えたり諦めたりするひとには決して起こらない奇跡。
こないだ読んだ「夕映え天使」でも同じようなことを感じたけど、だからこそ人は強く生きられるんじゃないかなって思った。
まあ、つまりは凄く良い本です。
小説ばかり読んでいるので、たまには作り話じゃなくて本当の話も読んでみようかと。
でもいきなりビジネス書にトライする度胸もなかったから、エッセイが良いかなと。
そんでもって、えいやっで買って失敗するのも嫌だったから図書館で探してみました。
それで見つけたのがこの一冊。
タイトルが「生きるコント」
コントって言うからには楽しいんだろう。
大宮エリーという人は知らなかったけど、東大を卒業して、電通で働いてた映画監督らしい。頭が良くて想像力が豊かってことでしょう。
そんな程度のテンションでどうしてもこの本が読みたかったというわけじゃなかったけど、読み始めたらあっという間に読み切りました。
とてつもなく面白い!
出来事そのものも面白いんだけど、表現も凄く面白い。
通勤のバスの中で笑いをこらえるのが大変でした。
大宮さんの人生を楽しくさせているのは、とにかく飛び込んでみる勇気というか行動力だと思う。
思い立ったが吉日を地で行ってる。何事にも「つまらなそうだからやらない」とは思わず、
「面白そうだからやってみよう」
って思える人なんじゃないかなあ。
僕もかくありたいって強く思いました。
どうやらこの本の続編もあるらしいので、それも読んでみよっと。
夕映え天使というタイトル、著者は浅田次郎。
これはかなり泣けると踏んで読んでみたものの、期待していた内容とはちょっと違った。
6つの短編が収められているけど鉄道員や歩兵の本領のように分かりやすく泣ける物語はひとつもない。
ややもするとSFテイストのものまである。
浅田次郎の作品をたくさん読んでいるわけじゃないからよく分からないけど、こういう作品も書くんですね。
とは言え、じーんと泣くことは出来なかったものの読んで良かったなと思いました。
理屈じゃ割り切れない人生の切なさ満載。
中でも「丘の上の白い家」は秀逸。関係ないんだろうけど浜田省吾の「丘の上の愛」となんとなくかぶる。
物語も似てると言えば似てるし。
ただ、浜省の場合は丘の上に住んでいるのは男性だけど、こちらは女性。
この世には教科書通りにならないことが山ほどあるっていうメッセージをビシビシ感じました。
正直者や頑張ったものが必ずしも救われるわけではないっていう世の中なんだと。
現実と真実が同義になるのは金持ちだけなのかもしれないということを。
ほとんど絶望的な気分になる物語なんだけど、左官屋のくだりは少しだけ希望を持たせてくれる。
ときには現実にまさる真実もあるのだと。
精一杯の根性が奇跡を起こすこともあるのだと。
人はその可能性にかけて正直に、一生懸命に生きようとするんじゃないかな。
現実に負けちゃうかもしれないってうすうす分かっていても頑張るべきなんだよ。
大好きな大泉洋、原田知世が主演、忌野清志郎が主題歌を歌ってるってことで、「しあわせのパン」は久々に映画館で観たいなと思ってる映画です。
ということで、原作の小説も読んでみました。
北海道月浦のパンカフェ「CAFE mani」に訪れる人々の物語。そして最後の物語はCAFE maniを営む夫婦の物語。
本の帯にある原田知世のコメントでは
「あふれる涙がとまりませんでした」
とのことだけど、涙を流す感動というよりじーんと心暖まる感じ。
随所に出てくる一つのパンを二人で分け合う場面がすごく良い。
食べ物を分け合う。
これが家族の原点なんだなって感じました。
登場人物はみんな傷を抱えてます。だけどもがきながら生きていく。
多分世の中ってそうだと思う。傷を抱えていない人なんていないんじゃないかな。
色々経験して強くなって優しくなって大人になっていく。
大人になるというのはつまらない人間になるってことじゃない。そう思いたいです。
作品の中の言葉を借りると
「かっこわるい自分を知ってる人が大人」
ってことなんですね。
8年ぶりに日本で年越ししました。
8年ぶりの紅白歌合戦。
めちゃくちゃ良かったですねえ。
歳をとったせいか演歌も良かったわあ。
特にLADY GAGAと長渕剛は泣きそうになったね。
海外の年越しは陽気な年越しが多いけど、日本は厳かに年を越します。
去年は東日本大震災もあったのでなおさらです。
僕らの年賀状には「おめでとう」の言葉は入れられませんでした。
2012年は良い年になりますように!
天神様ありがとうございました。
先日、税理士試験の財務諸表論に合格したお礼に北野天満宮に行きました。
今日は終い天神なので凄い人出。かつ受験シーズン間近ということもあってお参りしている人も多かったですね。
お参りしようとお賽銭箱に近づいた時に目の前のおじさんがハンカチを落としたので、拾ってあげようとしたその刹那、遠くからおばちゃんが大きな声で叫んだ。
「落ちましたよ!」
その声とともに僕がハンカチを拾っておじさんに手渡したんだけど、合格祈願のために行列に並んでいる人の視線が痛かったですね・・。
まあ気のせいかもしれないけど、このシチュエーションでそんなにはっきりと大きな声で、落ちたなんて言わなくても・・。
僕が落としたわけでも、叫んだわけでもないのになんだかちょっと申し訳なくなりました。
気を取り直して天神様にしっかりお礼しておきました。
税理士試験「財務諸表論」合格!
夏に受けた税理士試験の結果が昨日届きました。
結果は1勝1敗。今年の本命の財務諸表論は合格!去年落ちた簿記論のリベンジは返り討ち・・・。
まあ、でも理論暗記がある財務諸表論が受かってホントに嬉しいです!
大学附属高校出身だから大学受験もしたことないので、多分この1年は人生で一番勉強したんじゃないかなあ。
財務諸表論の勉強は去年の9月から今年の7月まで、毎週土曜日に大原簿記法律専門学校へ通いました。
その前に通ってた簿記論の講座は日曜だったんだけど、土曜に通うとなると金曜に飲み会があっても遅くまでは行けないし、土曜のフットサルも行けなくなっちゃったし、我慢がいっぱいあった。
毎日会社に行く前に30分ちょっと勉強、通勤のバスで暗記、昼休みに10分暗記、会社から帰ってから2時間くらい勉強、風呂の湯船につかりながら理論の暗記。これを約1年!
我ながら頑張ったなー。
この努力は実務でも随分役立ったと思います。
さっそく問題集やら模擬試験やらを古紙ゴミにまとめてみる。
かなりの量の問題集を見てまた努力の痕跡を実感。
大原では模試の上位3割が合格ラインと言われてますが、僕が3割に入るようになったのはGWくらいから。その後は比較的安定的に3割に入るようになったけど、最後の模試が4割くらいでちょっと焦って気持ちが引き締まったのが良かったような気がします。
やー嬉しい!
来年は簿記論だけにするか、税法1つくらい受けてみるかどうしようかな・・・。
いまさらの感もあるけど、スマートフォンが流行ってますよね。いつでもどこでも最新の情報を手に入れることが出来て便利。スマートフォンを使いこなせてる人と使えていない人では人生の効率性に随分差があるなって思います。
でも、街中で恋人や友達と一緒にいるのに携帯の画面を忙しくタップしている人を見ると使いこなしているんだか、使わされてるんだか分からなくなる時もあります。まあ、こういう感覚は僕が歳をとったからなんだろうなとも思うので考えないようにしてますけど。
何でこんなことを書いたかというと、世の中がどんなに便利になっても大事にしなきゃいけないものを教えてくれた気がするからなんですね。この「西の魔女が死んだ」っていう本は。
やっぱり人間は動物だから、自然との繋がりは忘れちゃいけない。自然の豊かさに感謝するってことはどんなに科学が進歩しても大切なこと。
それともう一つ印象に残ったのは魔女修業。
魔女修業って言ってもほうきにまたがるわけじゃなくてやることはとてもシンプル。
主人公の祖母である西の魔女が言うには、
魔女にとって一番大切なのは意思の力であり、自分で決めたことをやり遂げる力だという。
それって、魔女だけじゃなくて誰にとっても大切なことですよね。
シンプルで強烈なメッセージでした。
ちなみに物語もとっても良いです。ラスト3ページで号泣です。
食べて、祈って、恋をして
想像していた通り、たんたんとした映画で、つまらないでも面白いでもなかったんだけど、今の20代30代はこの映画に共感出来る人が多いんじゃないかなと思ったので感想を書きます。
思いっきりネタばれなのでこれからこの映画を観ようと思っている人は読まないで下さい。
ストーリーの概要はジュリア・ロバーツが演じる主人公が自分探しの旅に出るわけなんだけど、バリの占い師の言葉は多くの現代の若者に向けられていたんじゃないかな。
「愛のために調和を失うことは、調和のある行き方の一部なんだよ」
「若者」と一括りにするのは良くないけども、晩婚化が進んでますよね、今。
色々理由があると思うけど、一人の生活が楽しいってことが原因の一つじゃないかと思うんです。
インターネットでたくさんの人と繋がった気になれるし、娯楽の種類や数はとても多い。
自分の楽しみ方や流儀を確立して「調和のある生き方」をしていると感じている人の中には、恋人を作ったり結婚したりすることは、調和を乱すことだと思っている人もいるんじゃないでしょうか。
娯楽たくさんの楽しい世の中ということが原因で人を愛せなくなっているのなら悲しいです。
なんか説教じみた感想になっちゃいましたね。説教というかおっさんか。
歳をとったもんですなあ。